何事も臨機応変にする。あまり気にしない。明日はわからない。なるようにしかならない。生き方、いや(笑)、旅の鉄則である。なので国内はへっちゃらだ。1カ月だろうが全然OK。この間は福岡でキャンペーン途中に歯がとても痛くなって大変だった。前々から行こうと思っていた歯医者。こんな時に限って激痛が走る。祭日なのでどこの病院も閉まってるし、仕方ないので、強烈痛み止めでカバー。でも、切れるとまずいので、仕方なく救急病院へ。スケージュールはハードだ。キャンペーン〜歯医者〜リハーサル〜ライブ。そんな予定表は聞いた事がない。結局、応急処置しか出来ないからと、結局また痛み止めやら何やらをもらう。一応聞く「バンドをやっていてライブが続くんですが、とりあえずほっといても死んだりしませんかね?」先生は励ます「頑張って!」
「歯医者でもらえるもの」...痛み止め 1690円
小学生の頃はいざ、遠足やら、修学旅行やらになると、A型の性格なのか、とても準備に緊張した子供だった。お菓子の値段もちゃんと計算したし、使うかどうか分からない予備のビニール袋もちゃんと入れていたし、書ける物には何でも名前を書いておいた。それが、高校を卒業して間もなく、イギリスやらアメリカを放浪状態のように長い間生活したおかげでそういう生き方が出来るようになった。昔で言うヒッピーみたいなものだ。海外でひとりぼっちの旅をしていたら、いい意味でもう何でもよくなってしまった。半分捨て身で半分希望。知らない人に出会って泊めてもらう事もあったし、友人に借りた車が無保険か何かで、いきなりでかいパトカーに何台も取り囲まれて、ボンネットに手をつき、メル・ギブソンの様な警官に羽交い締めにされたこともある。シカゴではブルースのレコードを買いにシカゴ大学付近に行ったが、好奇心で白人のDJ友達と、よりイカしたレコード屋を目指して、南へ南へ下ってしまい、知らぬ間にデンジャラス地帯に入っていた。マッドマックスのような風景でドラムカンで焚き火をしているような所だった。そこにあるレコード屋さんにはモータウンのレコードやモダン、ケントの超グレイトなシングル盤が山ほどあり、ここは天国!!と言わんばかりにレコードをゲットした。店員さんはオレたちに親切に教えた「ここは君たちは来てはいけない場所だから、早く帰りなさい。みんな仕事から帰ってくる」。何のことか分からずだったが、店を出た瞬間、意味が分かった。路上に溢れる怪しい人々。とりあえず避ける様に歩く。途端に2m程ある黒人に後ろから手を回されて拳銃らしきもの?(今から考えると、ただ棒みたいなものでつつかれてただけかもしれないが)で思いっきりホールドアップされ、カツアゲされたこともある。
「カツアゲされる」...30ドル
ここはやばいなあー!!と必死に車に戻ると、今度はオレ達の車が前の車と後ろの車にぴったりとはさまれて出られなくなっている。で、後ろの車の運転席から黒人が降りてきて、こう言う。「車を出したきゃ、金を払え」と。拒否すると仲間を呼ぶらしいので、とりあえず払う。
「車の移動費」...50ドル
おまけに駐車違反ステッカーが貼られている。
「罰金」...数十ドル
帰りに交差点で、パトカーに止められる。こんなところに来て、なんかあってもオレは知らんぞーとこれまた悪そうな黒人警官にめちゃめちゃ怒られる。だからと言って、別に黒人が怖いとか嫌いだとかはない。なぜか、その移動費請求には関心してしまった。生きる術、うまい事考えるなーと。逆にテキサスのとある田舎に行った時にある白人達にいじめられた時の方が陰湿で恐かったような気がする。そう、そこでオレが初めて体験したのは人種差別だったのだ。明らかに汚れているカップでコーヒーを出される。トイレの場所を聞くと、外に連れて行かれる。これはオマエには売らないと拒否される。自分を初めて黄色人種と認識した瞬間だった。だから学校で問題になっているいじめ問題とかを見ていると色んな意味で落胆してしまう。教育委員会のみなさん、一度あのテキサスの片田舎に研修行ってみなさいよ!!といいたくなりますなあ。今でもそういう所が残っているのですよ、と。まあ、ともあれ、そういった体験の結果、生きてればええやん、で全て帳尻が合うという事を発見したのです。歯が痛くても、風邪引いても、まあ生きてればええやんと言う訳です。かわいい子には旅をさせよと言いますが、何事も体験。
そう、マスターカードのCMばりに...
「お金で買えないもの」...プライスレス。