ルイスレザーのロングブーツ、履きすぎてジッパー壊れる。
で、修理に出してようやく戻ってきた。
おー、新品みたいなジッパー。
そらあたりまえか。
しかし、あきまへんな。
いや、ブーツがあかんのとちゃいますよ。
このオレです。
ブーツだけそのままもらってきたらええのに、違うもんもすぐ手に取って、
これちょうだい、って言うてしまう。
結局、同じくルイスレザーのハーフコートも持って帰ってきてしもた。。
お金あるとき、ないとき、そんなんは関係ない。
あるときは払うし、ない時もなんとか持って帰ろうとする。
つけといてや、ってすぐ言うてしまう。
なんとかなるやろ、とすぐ思ってしまう。
"つけといて&なんとかなる教育"を受けたせいか、どうしてもそうなる。
ちっちゃい時にじいちゃんのウチの近くに土井商店という雑貨屋があって、
オレと弟はよく買い物頼まれててんなあ。
ついでにお駄賃としてお菓子やパンを買っていいという暗黙のルールがあった。
ほんで、お金は持たされないが、通い帳というのを持たされてた。
「ほれ、かよい持っていき!」と時代劇に出てきそうな古い帳面を持って商店に行き、お使いリストを選んだ後はゆっくりとお菓子を見て回った。選んでも選んでも大体いつもチョコレートパンかメロンパン、あとコーヒー牛乳という組み合わせやった。オジサンは最後に帳面になんかちょこちょこっと記入すると笑顔で「おおきに」と言った。
幼いながらもなんか不思議な現象やった。
お金を払わずになんでこの帳面出すと買えるねん!?
なんやこの帳面は!!
「こ、こ、これは魔法の帳面や〜!!」
大きくなるにつれ、それが「つけといて」システムだという事が分かる。
結局月単位で支払いをしているという事やねんけど、じいちゃんはなんだか凄いなあ、と思っていた。ある日、じいちゃんに、なんで「通い帳でお菓子買えるん?」って聞いたら、「それはツケがきくということや。ツケがきくということは、信用がきくということや。おじいちゃんは土井さんにえらい信用されとるということやな」
お〜ツケって凄いやんけ!!という事で、中学生の時、学校の隣の雑貨屋で買い物した時、えらそうに「ツケきく?」っておっちゃんに言うたら「あほか」と言われた。
オレはただ単純に、オレにはまだ信用が足りひんのや、ってことやと反省し、それから足しげく通った。そこにはテーブルゲーム機が置いていて、他に置いてる店は何件かあったけど、なるべくそこに通った。ある日、昼休憩にツレと学校を抜け出して、パンやらたこやきやらを注文して、テーブルゲームをしていると、先生の見回りが来て、俺たちは即座に逃げないと行けなくなり、食いもの代をどうしようかと思ったとき、おっちゃんが「ツケでええからはよ行き」と言ってくれた。
息を切らして教室に戻った時、ちょっと大人になった気がした。