STUDER A-80。
このワードにとても敏感なDR.PANです。
最近は連日レコーディング日記でとてもマニアックな話題になっておりますな。
しか〜し、このSTUDER A-80に関しては書かない事には気がすまへんのです。
カバーアルバムのミックスダウン、マスタリング作業に於いて、やはり更なる音のアナログ感、奥行きがほしいなあ〜と考えにふけっていた最近。
たまらなく嬉しい朗報が。
STUDER A-80というテープレコーダーがやって来るのです。STUDERと言えばオープンリールレコーダーの王様メーカーで、世界の名スタジオで活躍したものです。今ではデジタル録音が主流になり、修理出来る職人さんも少なくなり、パーツもべらぼうに高いので、その姿もスタジオから消えつつあるのです。色んなアナログレコーディングを聴いて来て、個人的に特にA-80は素晴らしいテープ音を録音できるレコーダーだと思ってます。音の奥行き、中低音の厚さが素晴らしい。もちろん、イギリスのTOE-RAG STUDIOでも使用していて、エンジニアのリアムも大好きな音だと言っていました。
この前のニートビーツの紙ジャケCDを気に入ってくれたある人が今後もぜひアナログ録音に精を出してほしいと、なんとこのA-80という名器をGRAND-FROG STUDIOに譲ってくれることになったのです。そもそも、きっかけは最初、メールを頂いたのです。孫がニートビーツのライブに行ってCDを買って来たので聴いてみたらとても感動しました。どういう録音の方法をされているのか?もし探している必要な機材があれば私で良ければ協力します、と。
で、色々話も盛り上がり、そのうちにSTUDERの話になった訳です。オジサンはオーディオ屋さんの元オーナーで、個人的趣味でA-80を使っていたらしく、とても状態のいいのがあるからと細かい写真を送ってもらいました。わ〜綺麗やあ、ほんま美人やなあ...あ、違う。。。えらい美品やなあ。色んな人に聞くとかなり状態のいいのを買えば普通200万円近くはするらしいです。レコーダーで200!!!???、しか〜し、そんな金はな〜い!!という事で、わ〜めっちゃ高いやろな〜値段交渉どないしょうか〜!?と悩んでいたところ、簡単に無料で貸してあげると一言。
それも半永久的にです。え〜、そんなん借りパクでええんですか〜!?!?!?
とびびっていたら、今後もどんどんと良いアナログ録音を残してくれるなら...の条件でした。
文化を残していく価値には値段をつけられないとの事。
おー、お金で買えないもんや。まさにプライスレスや!!
「はい。もちろん任しといてください。これからもテープに魂入れ続けますんで」
と返答して、あっというまに交渉成立となりました。
そのオジサンはビートルズ世代でモノラル録音好きで、昔はビートルズのエンジニア、ジョージ・マーティンみたいになりたかったと話してくれました。オーディオ屋を引退してからは個人的にジャズを聴くために凝ったオーディオ装置を組んだが、年を考えると、これからはアナログが好きな若い人に気持ちを託していきたいとの事。
泣けるいい話もおおきにです。
いい出会いもおおきにです。
オミクジで大吉ひくのを上回る気分です。
そして来月、オレは嫁(STUDER A-80 )を迎えにいくのです。
でもって、新婚気分でカバーアルバムのマスタリングに突入するのです。